コラム

2025.11.30

【全3回】小笠原村との連携取組みレポート2025「今年も、アオウミガメの赤ちゃんが来ました!」

前回に引き続き、今回も小笠原に関するすみだ水族館の取組みをお伝えします。第2回は2025年9月にすみだ水族館へ新しくやってきた2頭のアオウミガメの赤ちゃんをご紹介します。
筆者:展示飼育チーム 藤原

■小笠原からすみだ水族館へ‌
すみだ水族館は2012年の開業時から、認定NPO法人「エバーラスティング・ネイチャー」が行うジョイントブリーディングローンプログラムに参加し、小笠原諸島で生まれたアオウミガメの赤ちゃん2頭をお預かりし、自然の海で元気に生きられるよう1年間大切に育て、故郷の海へ還す活動を続けています。‌

すみだ水族館にやってくるアオウミガメの赤ちゃんは、小笠原海洋センターの水槽で保護された、その年に生まれた赤ちゃんたちの中から選びます。‌

選ぶ基準は、目が合った子、バチャバチャとアピールが強いように感じた子など、飼育を担当するスタッフの第一印象で決めます。‌

2025年9月にやってきた赤ちゃんのうち1頭は、周りにいる子をかき分けながら前に進んでくる力強さから。‌

もう1頭は、周りにいた子たちに比べると少し体が小さかったものの、自分のペースで泳いでいる姿が目に留まったことに加えて、顔やアゴ、お腹の下がとても黒いことも印象に残ったので、この2頭に決めました(アゴやお腹の下が黒いのは成長とともに変わります)。‌


小笠原海洋センターの水槽


水槽をのぞき込むと寄ってくる子ガメたち


どの子にしようか考え中


この2頭に決まりました

■「朝日」と「夕日」‌
2頭の赤ちゃんの名前は、「朝日」と「夕日」に決まりました。‌

この名前は、小笠原村立小笠原小学校5年生の皆さんが考えてくれました。‌

小笠原諸島から見る朝日と夕日は、海から昇り、海にまた沈んでいきます。‌

これは海に囲まれた島だからこそ見られる光景で、とてもきれいなので多くの方に知ってもらいたい!という想いに私たちも共感しました。‌


海から昇る朝日(父島/傘山) 


海へと沈む夕日(父島/ウェザーステーション)

その後、2頭の赤ちゃんの顔を間近で見てもらい、「この子は朝日、こっちは夕日かな」と一緒に名前を付けました。‌

私たちも実際に、5年生の皆さんオススメの観賞スポットに行きましたが、海から昇ってくる朝日も海へと沈んでいく夕日も、海に光が反射してとても美しく、「こんなに朝日と夕日をちゃんと見ることは今までなかったなあ」と感動しました。‌

小笠原小学校5年生の皆さん、素敵な名前を付けてくれただけでなく、知らなかった島の魅力を教えていただきありがとうございました。‌



赤ちゃんを手に、どっちに朝日、夕日と付けようか考えてくれている小笠原小の5年生

■すみだ水族館までお引越し‌
アオウミガメの赤ちゃんたちは、私たちとともにおがさわら丸という船で24時間かけてすみだ水族館にやってきます。‌

船には、犬や猫などのペットを預けるためのペットルームという部屋があり、アオウミガメの赤ちゃんたちもそこへ預けます。‌


おがさわら丸 船内にあるペットルーム

ウミガメは、体や甲羅が濡れていれば水の中に入れなくても運ぶことができるので、ケースの中に濡らしたタオルを敷いて運びます。‌

移動中は2~3時間おきに様子を見に行って、体や甲羅が乾かないように濡らすなどのケアをします。‌

時には、お隣さんに犬がいることもあり、横から視線を感じながらケアをすることもあります。‌


船内でのケアの様子

■すみだ水族館での暮らしがスタート‌
24時間の長旅を経てすみだ水族館に到着した「朝日」と「夕日」は、水族館の獣医に体にケガはないか、体調不良はないかなどを確認してもらい、体の大きさを測ってからバックヤードで一晩ゆっくり休みます。‌

翌日にはお披露目会が行われ、たくさんの方に見守られながらオガサワラベースにある水槽に入りました。‌

ここから「朝日」と「夕日」のすみだ水族館での暮らしが始まりますが、はじめてゴハンをあげるときの赤ちゃんたちの反応は毎年ドキドキします。‌

多くの場合、長旅の疲れや初めて入る水槽、初めて見る光景のためか、ほとんど食べず、かじるだけ。‌

今年の赤ちゃん「朝日」と「夕日」はというと、「朝日」はゴハンに無関心、「夕日」は少しかじった後、食べ始めました。‌

そこで「朝日」に「夕日」が食べている様子を見せると、「朝日」もゴハンに興味を示してかじるようになりました。‌

それだけでも私たちからすると十分で、用意したものがゴハンだと認識してくれたことにホッとします。‌

すみだ水族館では、ウミガメ用の人工フードとワカメをあげていますが、小笠原海洋センターにいたときに食べていたものと違うので、まずはこのゴハンに慣れ、おいしいと思ってもらうことが大切だからです。‌

翌日には2頭ともゴハンに気づき食べるようになり、今では用意したゴハンをすぐに完食するまでになりました。‌


ウミガメのゴハン(人工フードとワカメ) 


「朝日」のゴハンの様子

毎週日曜日の朝には、成長具合を確認するために体重と甲羅の大きさの測定を行っています。‌

「朝日」は体重が69g→151g、甲羅の大きさは7.3㎝→9.7㎝、「夕日」は56g→138g、6.6㎝→9.0㎝と順調に大きくなっています。(2025年10月26日時点)‌

この時期の赤ちゃんは水面で浮いていることが多く、水の流れに流されないように水槽の隙間などに体を固定して休んでいます。‌

浮いて休むときは、両方の前あしを甲羅の上に乗せて、浮かびます。‌


甲羅に前あしを乗せて休む「朝日」 


水槽の隙間に挟まり独特な体勢で休む「夕日」

このポーズは浮いている木の葉などのように見せ、鳥などの外敵に見つからないようにしていると言われていて、赤ちゃんのときにしか見られない行動なのです。‌

そんな2頭の赤ちゃんたちは日々成長しており、少しずつ水槽の底のほうへと潜る様子も見られるようになりました。‌

これからも2頭の成長や水族館での様子を紹介していきますので、皆さんもぜひ「朝日」と「夕日」に会いに来て一緒に成長を見守ってください。‌


「朝日」


「夕日」

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