2025.11.26
すみだ水族館は、2025年11月27日(木)~29日(土)の3日間、マゼランペンギンの世界最大の繁殖地※1であるアルゼンチンに渡航し、飼育スタッフがマゼランペンギンの行動調査を行いますのでお知らせします。
当館は、水族館から未来の地球にバトンをつなぐサステナブルな活動「AQTION!(アクション)※2」を推進しています。いきものの展示だけでなく、生物多様性やいのちの大切さ、自然環境への関心・興味を高める展示や体験プログラムを通じて、水族館だからこそ見える地球や社会の課題を、未来を担うこどもたちに楽しくわかりやすくお伝えしています。また、絶滅危惧種の保全のほか、自然環境を守るための調査・研究や、飼育下での繁殖も積極的に取り組んでいます。
今回、AQTION!の一環として、マゼランペンギンの繁殖地であるアルゼンチンに飼育スタッフが渡航し、繁殖期を迎えたペンギンの行動調査を行います。調査は、アルゼンチンでの調査・研究を進めている麻布大学獣医学部動物応用科学科の山本 誉士准教授と、アルゼンチン国立科学技術研究評議会(CONICET)のFlavio Quintana博士とともに行い、小型カメラを装着したペンギンの水中における採食行動を映像で記録します。
本調査により、野生のペンギンの行動から生態を把握し、当館で暮らす58羽のマゼランペンギンの飼育に生かすとともに、飼育環境の向上や、飼育下での繁殖に反映します。また、調査のようすや結果は、ペンギンアカデミーでのパネル掲示や特別ワークショップを通じて、お客さまにお届けする予定です。渡航期間中の現地のようすは、公式SNSで投稿します。
すみだ水族館は今後も、いきものの生態をお伝えしながら、いきものの暮らす環境やいのちの尊さを知る機会を提供してまいります。
※1 International Union for Conservation of Nature and Natural Resources.
※2 2021年12月20日付リリース:未来の地球にバトンをつなぐ、サステナビリティ推進プロジェクト「AQTION!(アクション)」
マゼランペンギンの繁殖地であるアルゼンチンにて、繁殖期を迎えたマゼランペンギンの親個体の採食行動を調査します。調査は、麻布大学獣医学部動物応用科学科の山本 誉士准教授と、アルゼンチン国立科学技術研究評議会(CONICET)のFlavio Quintana博士と共同で実施し、小型カメラを装着したペンギンの水中行動を映像で記録します。この調査により、子育て中のマゼランペンギンの採食行動を明らかにし、野生下の生態における負荷や環境変動の影響などを多角的に考察します。
現地調査期間:2025年11月27日(木)~11月29日(土)
調査場所:アルゼンチン チュブ州バルデス半島
■マゼランペンギンについて
野生下では主にアルゼンチンやチリをはじめとする南米に生息しており、温かい岩や低木の多い海岸をすみかとしています。胸に2本の黒い帯があることが特徴です。現在、日本では、当館含む14施設の動物園・水族館で飼育されています。(日本動物園水族館協会公式サイトより)
すみだ水族館で暮らすマゼランペンギン 左:つむぎ 右:わっしょい
2012年の開業から繁殖に取り組み、今年までに29羽が誕生※5、現在は合計58羽のマゼランペンギンを飼育しています。飼育スタッフによる日々の観察記録をお客さま向けにまとめた「すみだペンギン相関図」は2018年から毎年更新し※6、多くのお客さまにペンギンたちの個性や社会性などをお伝えしています。
2022年からは、麻布大学獣医学部動物応用科学科の山本 誉士准教授とデジタルデータロガーを使用し、館内で暮らすペンギンたちの行動調査を行っています※7。ペンギンたちの行動傾向から、ペアや個体間の社会性などが一部明らかになり、ペアの形成や繁殖に関する有用な指標になり得ることを国際誌にて共同発表しました※8。2024年には、これまでの飼育の経験から、野生地との関連性を再認識し、野生のマゼランペンギンの暮らしと生息域の視察を目的に、同年12月に初めて、飼育スタッフがアルゼンチンを訪れました※9。今後も飼育スタッフの日々の観察に加えてデータを使用した行動調査を行うことで、ペンギンたちの行動を正確に記録し、健康的で豊かな暮らしを実現してまいります。
デジタルデータロガー装着イメージ
※5 2025年4月23日付リリース:2年ぶりにペンギンの赤ちゃんが仲間入りマゼランペンギンの赤ちゃん「あられ」、「つづみ」誕生
※6 2024年12月2日付リリース:ペンギンたちの関係性を最新版にアップデート!「すみだペンギン相関図2025」を公開
※7 2022年8月19日付コラム:マゼランペンギンについてもっと知りたい!~データロガーを用いた行動調査について~
※8 Applied Animal Behaviour Science Volume 286, May 2025
※9 2025年1月29日付コラム:【現地視察レポート】アルゼンチンでのマゼランペンギンの暮らしを体験してきました
すみだ水族館・京都水族館から発信する、未来の地球をつくる活動です。水族館のアクションであり、みんなのアクションにつなげたいとの思いを込めて、「AQUARIUMからはじまるACTION」という意味で、「AQTION!」と称しています。
多彩ないきものの生活に触れ、間近に感じることができる水族館が、地球環境やいのちの大切さを思うきっかけとなり、未来を創造する子どもたちのチカラを育むことを目指しています。小笠原村との取り組みも、この「AQTION!」の活動のひとつです。
AQTION!ロゴ
■「AQTION!」公式ウェブサイト
https://www.sumida-aquarium.com/aqtion/